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右手に萌えを、左手にネタを。

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ユメモ

この戦いの向こうに穏やかな平和があると信じてた。
この戦いに勝てば、みんなで幸せになれるのだと、信じてた。




目の前の戦禍に、私は呆然と立ちつくす。
少し、少しその場を離れただけだった。だけどその一瞬も、本当は目を離しちゃいけなかったんだ。
親しい人たちが次々と倒れていく。
目に鮮血は少ない。けれども確かに、いくつもの悲鳴と怒号が重なって、のけぞるように倒れていく人々が目に映った。

耳をふさいだ。
物陰に隠れて、視界を逸らした。
信じたくなかったから何も見たくなかったから。
――違う、違うそうじゃなくて私は。

(怖い…!)

見つかったら殺される。
この手に自分を守る術は何もない。
見つからないように祈るだけ。物陰で、息を潜めて気配を殺すだけ。

だけど、それすらも、叶うことはなくて。

「…そこに居るのは、誰だ?」

自分に向かう気配に顔を上げる。
目の前に、敵の男。
そして銃声も悲鳴も戦禍を伝える全てのものが静まっていた。

* * * * *

「お前、名前は?」

おそらく、リーダー格の男。風貌の良い、まるで先程までの血生臭い争いが嘘であるかのように、優しげにその男は笑っていた。
私は何も答えられなかった。
それは敵愾心か、恐怖心か。
分らないが、ただ喉を突く言葉がその壁を越えることは無かった。

「…まぁいい。来い」

そう言って男は私の手を引く。
殺されるんじゃ、ないのか。
だけどどうしてだろう。この男は敵なのに。みんなを殺した仇なのに。
無意識に、体は男に従い先を行くその背を追った。

たぶん、…絶対。見えないけれど分る。
今この男が、穏やかに笑ったこと。

* * * * *

戦いは私たちが幸せを得るためのものだと信じていた。
この国が私たちを不幸にするのだと。だから潰さなければならないのだと。
そう信じていた。
けれど。

「え、あなた皇太子なの!?」
「知らなかったのか?」
「じゃあ、どうして…」

どうして、私を側におくの。
どうして、私を殺さないの。

「何?」
「……なんでもない」

――あれから数日、私は殺されることなくその男の側に置かれる。時に世話を、時に話し相手を。
一度…一度だけ、その寝所に招かれたこともあったけれど。
結局、共に眠る以外には何もなくて。
皇太子と呼ばれるこの男の近くに付いてから、この国の行方について語り合うその様を何度か垣間見たりもした。
そうやって、ただ淡々と、まるで何も無かったかのような時間が私にいくつかの疑問を投げつける。

それは本当に幸せを得るための戦いだったのか。
正義だと信じていた私の仲間達は、……本当は。


思ってはいけない。
疑ってはいけない。
――けれど。

「あぶないっ」

よろけそうになったところを、その男に支えられる。
そうしてその男が、ドジ、って本当に楽しそうに笑って。
私は私の心臓が、1つ大きくなるのを自覚した。

思ってはいけない。
想っては、いけない。

この人は、信じてはいけない仇なのだから。


==========
…っていう感じの夢を見ました。
とても萌えました。
忘れないようにと覚えてる部分を出来るだけシンプルにでも伝わるようにと書き殴ったらもうメチャクチャです(笑)ホントはすげーオイシイ話だったんだけどな…!(笑)(ていうかもっかい見たいすげー見たい)(だってあの人格好良かったんだよっていうか、け、景吾に似てたの…!(だしだし)
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